ランチを取った後に眠くなる、食事の後にだるい、頭痛がする、満腹にならないといった、「糖質疲労」を感じていながら、糖質を減らす食べ方にまだ取り組まれておらず、食後高血糖が続く状態は、細胞や臓器に変化を起こします。
「食後眠い」とか「ランチの後にボーッとする」といった「糖質疲労」がいわば感覚的なものである一方で、「糖質老化」とは、そんな食後高血糖が長く続くことによる、細胞や臓器の悪しき変化とお考えください。
食後高血糖状態が慢性的になると、からだの中では「糖化×酸化」により糖質老化が始まります。
糖質より脂質を有効活用する「脂質起動」ができていない人も――書籍『脂質起動』に、糖質疲労を解消する食べ方の詳細を書きました――これから糖質老化が本格化する恐れがあります。
糖質はエネルギー源になりますが、果糖だけは全身のエネルギー源にはならず、代わりに体内で様々な反応を起こします。
その反応の多くは、古代においては冬に備えるための生存に適した反応だったはずなのですが、飽食の現代においては過剰で生存にネガティブな影響を与えるものです。
糖質老化を進める老化糖以外の何ものでもないのです。
果糖は、糖質老化の元凶であるAGEsをブドウ糖の数倍のスピードで発生させます。
近年、世界的に心不全の患者さんが著しく増えています。原因として高齢化や肥満、糖尿病の増加が挙げられていますが、最近、新たな“容疑者”して注目されているのがこの「果糖の摂りすぎ」です。
果糖を摂りすぎると、まず肝臓で中性脂肪がどんどんつくられます。それが脂肪肝やインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる状態)を引き起こし、動脈硬化や高血圧へとつながって、心臓に負担をかけます。
ところが最近の研究では、果糖が心臓をもっと“直接的に”傷めることもわかってきました。 高血圧や心臓の病気などで心臓に負荷がかかると、心臓をつくっている心筋細胞が果糖を積極的に取り込んで燃料として使い始めます。
問題は、果糖の代謝にはブレーキがないことです。 心筋細胞が果糖を使い続けることで、心臓が異常に肥大し、心機能が低下して、心不全が進んでいく――そのような悪循環が起きることが、スイスの研究チームによって明らかにされました。
さらに最近の別の論文では、果糖を多く与えると心機能や血管の異常が生じることが報告されています。
もちろん、心不全の原因は一つではありません。しかし、世界中で果糖を大量に含む清涼飲料水や加工食品の消費が増えている現状と、心不全パンデミックの広がりは、無関係とは言えないのです。