腰や膝の関節に違和感や痛みを感じたとき、どのタイミングで医療機関を受診するかは大事な問題です。
関節がちょっと痛むけれど安静にしていれば良くなるだろうと思い、治療を後回しにしてしまうようなこともありがちです。
とりわけ高齢になるにつれ、痛みぐらいで病院に行くのは大げさだと考えたり、少しくらいの痛みは我慢したりしてしまう傾向が強くなります。
我慢できないほどの痛みが出て、ようやく病院を訪れるという人は、残念ながら少なくありません。
関節痛も同じです。腰や膝、関節に起こる痛みは、〝身体からのSOS〞だと考えてください。
がんのような進行性の疾病なら、身体が出しているSOSを受け流していたら取り返しのつかないことになります。
では、足腰のしびれや痛みならどうかといえば、痛みを身体からのSOSと思うのであれば、放置するわけにはいきません。
足腰や関節に痛みが生じ、その痛みが続くようであれば、自分の身体のなかで何が起きているかを探ってほしいと思います。
しかし、関節痛は薬頼みでは完治しません。薬はあくまで表に出ている症状をなくす対症療法にすぎないからです。
痛み止めの薬を処方しても、その作用が切れれば再び痛くなり、いつまで経っても完治せず、痛みを繰り返しては医者通いに明け暮れることになってしまいます。
痛みをとるための薬は必要最小限で十分だと考えています。肩腰が痛いからといって、注射を打ったり薬を出したりするだけで「これで様子を見ましょう」と言っても、痛みの原因やその予防法が分からないままでは、また痛みが出てしまうのは時間の問題です。
そして、そのたびに痛みをとる治療だけをするのは、患者さんにとっても医療者にとっても時間の無駄だと思います。
そんなことに終始するくらいなら、痛みが二度と出ないような予防に努めるほうが比較にならないほど有意義です。
加齢や身体の酷使に伴う骨の変形や、腰や膝、股関節になんらかの不調が現れるのを予防し、治すことは可能です。関節痛の兆しは早くて20代からみられます。症状が出るのが早い人は、人生の大半をこれらの痛みに悩まされるわけです。
私たちの身体には〝自然治癒力〞という力が備わっています。薬に頼らなくても、自分の力で病気やけがを治す能力です。
関節痛も、この自然治癒力で治すことができます。
正しい身体の使い方を知り、生活の工夫をし、あるいは運動療法やリハビリテーションなどの保存的治療と並行して、私たちが生まれながらに持っている自然治癒力をうまく引き出すことができれば、私たちは自分の力で関節痛を治すことができるのです。